NK Log

生成AIを利用したシステム開発業務について思うこと

2025-05-11

もともとは、DBからデータを抽出して分析し、効果検証をしたり分析レポートを作るような仕事が多かったが、 最近は社内でデータを使った検索アプリやダッシュボード開発の引き合いが多く、データハンドリングやモデル開発だけでなく、アプリ自体を作ることも多くなってきた。

自分自身はソフトウェアエンジニア出身でもなんでもなく、ITコンサルやデータ分析の仕事を通じて、必要ならコード(SQLやPythonなど)を書いてきた程度の経験しかないので、 個人開発ならまだしも、業務の中でアプリ開発をするのは難しい…はずだった。

しかし、生成AIの出現によって、その壁は一気に低くなった。

いや、「一気に低くなった」は言い過ぎだが、それでもとりあえず動くものは作れるようになった。

これまでは不足している技術領域(フロントエンドなど)は外注することが多く、調整や指示を出すのにそれなりに時間を要していたが、 AIがフロントからバック・インフラまで動くものを作ってくれるので、稚拙ながらも外部ベンダーを介さずとも自力で作れるようになった。

もちろん、既存の基幹システムやプロダクトに対してこのようなアプローチが取れることは少ないと思うが、PoCのような0→1でモノを作るような案件については生成AIは絶大な威力を発揮すると感じている。

既存システムの膨大なコンテキストを生成AIに理解させる必要がないからだ。

また、PoCは基本的に仮説検証のフェーズなので、生成AIを使って高速にビルド&スクラップを繰り返せるのがよい。 別に自分が苦労して作ったものでもないので、一度できたものを壊すことにもそれほど抵抗がない(愛着がないので笑)。

一方で、課題もある。

  • 詳しくない領域のコードがブラックボックス化してしまう
    • 特にフロントエンドまわり(ReactやTailwindCSSなど、いい感じに出力してくれるが、自分でメンテできる自信がない)
  • 高速かつ楽に実装できる分、すぐにコード量が肥大化する
    • 頭を使わずに実装している分、忘れるのも早く、コードを読み返すのが大変
  • AIのアウトプットばかりが捗り、自分のインプットが追いつかない

つまり、生み出すまではいいが、その後のメンテナンスが大変になりそうだということだ。

特に、3点目のインプットが追いつかないという点は課題視していて、これまではある程度時間を確保してインプットしてから実装(アウトプット)していたので、知識が血肉になっている感じがあったが、いまは深い理解を伴わないアウトプットばかりしているので、どんどんバカになっている気がしている。 この点については意識的にアウトプットをどこかで打ち止めにして、AIのアウトプットの理解に努める時間を確保する必要がある(後のメンテナンスのことを考えるとますます必要)。

ということもあり、自分自身のレベルアップも必要である一方、(私はスーパーマンではないので)結局はPoC後の導入・運用フェーズにおいては、スペシャリストにも入ってもらって継続的な改善を回せるような体制を整える必要があると感じている。

とはいえ、仮説検証をアプリ・サービスを実装しながら精度高く、高速に、そして安く行えるメリットを損なうほどの課題でもなく、 システム開発のパラダイムシフトが起こっているだけという話だと思っている。

一人で対応できる幅が広がっている分、逆に忙しさは増すばかりな気はするが… しばらくはこんな感じで頑張ってみて、また後で振り返ってみることにする。

おわり

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